MCI・認知症疾患センター
治療のタイミングを逃さないために

和田 裕子
アルツハイマー型認知症は、がんと同じように「早期発見・早期治療」が大切です。2023年に日本国内で承認されたアルツハイマー型認知症の新薬である抗アミロイドβ抗体薬も、アルツハイマー型認知症を発症する手前の軽度認知障害(MCI)の状態もしくはごく早期の方を対象としています。
当院は、この薬剤を使用できる施設として厚生労働省から認可を受け、京都府内で最初にこの抗体薬治療を開始。年間50件強の治療実績もございます。
早い段階でのMCIと診断と予防的介入が可能ですので「最近、なんだが忘れっぽいな」と感じたら、「歳のせい」と思わずに、ご遠慮なくご相談ください。
MCI(軽度認知障害)とは
MCIとは、正常加齢と認知症の中間に位置する認知症の前段階、いわゆる「認知症予備軍」を指します。記憶力や注意力などは正常より低下していますが、認知症のレベルにまで至っておらず、日常生活に支障がない状態です。軽度の認知症と混同されがちですが異なります。この段階では「軽い物忘れ」を自覚しているものの、周囲にはほぼ気づかれていないため「歳のせい」と見過ごされほとんどのケースで治療できるタイミングを逃してしまいます。MCIは放置しておくと、年10%の割合で認知症に進行します。

MCIを早期発見し、認知症を予防しましょう!
認知症予防の重要なカギを握るのが、「MCI」です。「認知症予備軍」であるMCIを放置して、さらに認知機能が低下すると、本格的な認知症に進行してしまいます。そのため、MCIの段階で脳を活性化させる生活の見直しを行い、認知機能の低下を食い止める努力をすることで認知症の発症を予防したり症状の進行を緩やかにしたりできます。ほかの病気と同じように、認知症もMCIの段階での早期発見、早期治療が大切です。
当院では日本認知症学会専門医による診察、経験豊富なスタッフによる心理検査、各種検査(血液、MRI、SPECT)を行い、総合的に診断します。MCIと診断された場合、最新のガイドラインに基づいて認知症予防の指導をします。
MCIと診断されたら?
約50%は認知症に進行する可能性があり、その大半はアルツハイマー型認知症です。MCIの段階で診断できれば「抗アミロイドβ薬」の治療を開始し、進行を予防することができます。
認知症新薬について
2023年12月、世界初のアルツハイマー型認知症に対する治療薬「抗アミロイドβ抗体薬」が登場しました。
この薬剤は、MCIまたはごく早期のアルツハイマー型認知症に対して使用でき、病気の進行を抑える効果が期待されています。
京都府で初となる新薬投与の様子はテレビで取り上げられました
※『カンテレNEWS』YouTubeチャンネルより
受診のご案内
「最近忘れっぽい」と感じたらまずはこちらへ。必要に応じてMRI検査や神経心理検査などを実施し、原因の特定と今後の対応を丁寧にご説明します。
MCI外来(早期診断外来)
MCI外来は完全予約制です。かかりつけ医などの医療機関よりご予約ください。ご予約は洛和会音羽病院 地域連携課で承ります。
医療機関さま専用予約ダイヤル
(地域連携課)
電話番号
0120-607-489