虫垂炎

急性虫垂炎とは

急性虫垂炎は、腹部救急疾患の中でもっとも頻度が高く、軽傷から重傷まで幅の広い疾患です。

急性虫垂炎の手術

当科では、急性虫垂炎に対する手術は全身麻酔下で行い、腹腔鏡下手術を基本にしています。
術式は、腹腔鏡下虫垂切除術です。これは、おなかに5mmから1cm程度の穴を3カ所あけて行い、最後に臍部の穴から虫垂を取り出します。症例によっては穴を一カ所のみあけての手術を行っています。
ただし、心機能の悪い方と腸閉塞症状の強い方、開腹手術既往があり高度の腹腔内癒着が予想される方、および10歳以下の小児は、腹腔鏡下手術の適応外です。これらの方には開腹術を行います。腹腔鏡下手術として手術を開始した場合でも、高度な虫垂周囲の癒着により周囲臓器損傷の可能性が高いと判断された場合は、その時点で開腹術に切り替えます。
以前は、汎発性腹膜炎を併発している場合は開腹手術で行っていましたが、腹腔鏡下手術の方が腹腔内の観察が良くできて、腹腔内洗浄をしっかりと行うことができるため、術後経過が開腹術より良好であることが判明しました。そこで、現在は、汎発性腹膜炎を併発している場合も腹腔鏡下手術を行っています。

腹腔鏡下術の利点

腹腔鏡下手術が、体への負担が少ない低侵襲性手術であるのはもちろんですが、拡大した鮮明な画像を見ながら行うことにより、従来の小さな開腹創の手術では見えにくかった部位が細かく同定できるため、鉗子操作の不便さを克服すれば、より安全性の高い手術が可能であると考えています。そのうえ、皮膚切開創が小さくそれが病変部から離れているため、術後の創部感染が非常に少なくなりました。そのため、術後の入院期間も短くなる傾向が見られます。