心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)とは、狭心症や心筋梗塞、心不全、心臓手術後など心臓の病気をお持ちの方が、体力を回復し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指して行う総合的活動プログラムのことです。
整形外科や脳神経疾患のリハビリとは少し異なり、運動療法だけではなく、病気についての知識をつけていただくことや生活指導・栄養指導・相談(カウンセリング)などを含みます。

当院の心臓リハビリチームには専門知識を持った医師、理学療法士、看護師、薬剤師、公認心理師、医療ソーシャルワーカー(MSW)など多くのスタッフが関わっており、患者さん一人一人の状態に合わせたプログラムを提案し、多方面からサポートさせていただきます。

当院では通院型の心臓リハビリにも力を入れており、これまで多くの患者さんが取り組んでこられました。ご興味をお持ちでしたら、実際にご自身が対象に当てはまるかも含め、当院の心臓内科外来にてご相談ください。

心臓リハビリテーションを実施するメリット・効果

  1. 運動能力が高まり、楽に動けるようになる。
  2. 狭心症や心不全の症状が軽くなる。
  3. 不安やうつ状態が改善し、快適な社会生活を送れるようになる。
  4. 動脈硬化になる危険因子(脂質異常症、高血圧、糖尿病、肥満)が改善される。
  5. 血管が自分で広がる能力(血管内皮機能)や自律神経の働きが良くなるとともに、血栓ができにくくなる。
  6. 心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する。
    (包括的リハビリテーションは3年間で約25%死亡率低下させると言われています。)

対象疾患

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 開心術後
  • 経カテーテル大動脈弁置換術後
  • 大血管疾患
    (大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)
  • 末梢動脈閉塞性疾患

外来心臓リハビリテーションについて

スワイプ

 
午前
(午前11時~)
   
午後
(午後1時30分~)
         
午後
(午後2時45分~)
  • 1回のリハビリ時間は1時間となります。
    動きやすい服装、運動しやすい靴、飲み物、汗ふきタオル着替え(必要な方)をご持参ください。
  • 予約制になります。まずは、心臓内科の主治医までご相談ください。

洛和会音羽病院 リハビリテーション部

電話番号

075-593-4111 (代表)

当院の心臓リハビリテーションの特徴

当院では、CPX(心肺運動負荷試験)を導入しており、安全かつ適正な運動量について効果測定を行っています。また心疾患評価(SPPB・握力・膝伸展筋力・6分間歩行検査など)を行い、個別評価に合わせた運動指導・生活指導を行っています。

当院の心臓リハビリテーションの特徴(図説)

測定・評価

InBody測定

InBody測定の様子

InBody770では、外からは見ることができない体内の筋肉量や脂肪量の測定ができます。
運動療法、生活指導を行う上で、筋肉量や体脂肪量を測定することは非常に重要で有益な情報となります。
当院ではInBody770で測定した情報に基づいた運動・指導を行っております。

CPX

運動中の心臓の機能・肺の機能・骨格筋の機能などを同時に測定する検査です。運動負荷をかけ、狭心症や不整脈、息切れなどがどの程度の日常活動レベルで出現するのか、どの程度の運動であれば安全且つ効果的に行えるのか(運動処方)を知ることができます。

  • 検査時間:約30~50分
CPX測定の様子
CPX測定の様子

指導・処方

自己管理指導

看護師は患者さんとのコミュニケーションや心不全手帳をもとに体調管理のサポートをしています。患者さん自身の体調の観察は、早期受診の目安になるため重要です。日常生活での体調変化を患者さん自身で把握できるよう、心不全手帳を利用して患者さんに指導をしています。また、心臓病をもちながら生活する中での気掛かりな点などをお伺いし、必要時は医師に相談するなど、外来受診の橋渡しを担っています。

栄養指導

管理栄養士は心臓リハビリテーションの効果を高める食事療法についての栄養相談を行います。栄養状態を良くすることで、リハビリテーションの効果が最大限に得られることが知られています。どんな食品をどれだけ食べれば良いか、患者さん一人一人の状態に合わせたアドバイスを行います。
その他、心臓病を再発・悪化させないための食事療法や普段の食生活で困ったことなどについてもお気軽にご相談ください。

カウンセリング

公認心理師によるカウンセリングを行います。
心臓リハビリに通っておられる方の中には、「動悸(どうき)、胸痛、息苦しさなどの辛い症状が、いつまた起きるか分からない」といった不安が強く、外出を控えるなど日常生活が制限される方がおられます。また、「運動や食事に気を付けるように病院で言われたけれど、今までの生活習慣を変えるのは難しい」と退院後の生活で戸惑いを感じる方もおられます。
カウンセリングでは、そのような生活の中での不安や悩みについてお聞きし、一緒に解決策を考えていきます。 人それぞれの価値観があり、得意なことや苦手なことがあると思います。一人一人にあった疾患管理の方法を考え、前向きな気持ちで日常生活が送れるようにお手伝いしたいと考えています。

心臓リハビリテーションプログラム例

心臓リハビリテーションプログラム例(図説)
  • 体力測定には、CPX(心肺運動負荷私見)、InBody(体液量測定)、握力測定、膝伸展筋力測定下腿周経、SPPB(身体機能評価)などが含まれます。
    身体機能、状態によって適宜実施しています。

外来心臓リハビリテーションの流れ

  1. 1 問診・血圧測定

    問診・血圧測定 問診・血圧測定
  2. 2 準備体操

    準備体操
  3. 3 有酸素運動

    有酸素運動
  4. 4 レジスタンストレーニング

    有酸素運動
  5. 4 整理体操

    整理体操

そのほかのサポート

教育入院

心疾患患者さんのうち対象の方に向けて、運動指導・生活指導のための教育入院を実施しています。

スケジュール(教育入院パス)

スワイプ

●指導 〇検査 ◇運動
土曜日
(入院日)
日曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日
(退院日)
AM 入院 〇CPX説明・練習 〇CPX練習 ●筋トレ指導 〇体力測定 ◇運動療法
●心不全手帳 ●心不全手帳 ●自己管理指導 ●自己管理指導 ●自己管理指導
PM ●リハビリ説明 ◇運動療法 ◇運動療法 ◇運動療法 退院
●栄養指導 ●心臓病教室
(13時~)
●栄養指導
●内服指導 ●内服指導
●入院
オリエンテーション
●DVD鑑賞 ◇緊急時の対応
検査 〇レントゲン・心電図 〇CPX 〇API・心エコー

心臓病教室

医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士による健康管理指導などを行う「心臓病教室」を毎月木曜日(祝日除く)に開催しています。申し込み不要・参加費無料です。お気軽にお越しください。

  • 新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため、現在はイベントの開催を中止しています。

心臓リハビリテーションプログラム後の在宅指導

150日の心臓リハビリテーションプログラム終了後も再発予防に向け、自己管理が大切になります。当院では、継続して運動指導が必要な患者さんに対して、プログラム終了後も運動機会の提供として、例えば通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションといった介護保険サービスの提案を医療ソーシャルワーカーが行います。