脊柱側弯症
脊柱側弯症とは
脊柱のねじれや椎体の変形が生じて、脊柱が側方へ弯曲した状態を「脊柱側弯」と言います。側弯症の多くは成長期に発見され、成長期間中は進行する可能性があります。第1次検診(学校検診)で異常のおそれがあると判断された生徒は、第2次検診(精密検診)として専門医の診察を受ける必要があります。
脊柱側弯症の検査
第1次検診:視診による身体の非対称性の検査
- 両肩の高さに左右差
- 側弯凸側背部の隆起
- 凸側肩甲骨の突出
- ウエストラインの非対称性
前屈検査
両方の手のひらを合わせた状態で、肩の力を抜いて両腕を自然に前にたらし、膝を伸ばしたまま、ゆっくりとおじぎをしてもらいます。この間、検者は、被検者の正面あるいは背面に位置し、被検者の背面を見通すようにしながら、肩、背中、腰の順に、左右の高さに差があるかどうか、視診と触診で確かめます。
第2次検診:立位全脊柱レントゲン検査
第2次検診においては、立位全脊柱レントゲン写真により、側弯角を測定します。専門医による診察の結果、側弯が20〜24度の軽度のものであれば、約20%は何も治療しなくとも改善し、約60%は治療しなくても進行しません。しかし、残りの約20%の側弯は進行性です。残念ながら、これらの側弯の予後を初診時に判定することはできません。経過観察しながら、適切な治療法を決めることになります。この間、単なる牽引(けんいん)・ぶら下がり・指圧・マッサージ・カイロプラクティックなどは、側弯の進行を防ぐ役には立ちません。
立位全脊柱レントゲン検査の結果による大まかな治療方針
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正常範囲
側弯角10度未満の側弯。 -
注意を要する症例(学校医、学校、家庭によるチェック)
側弯角10〜14度の側弯。次回の定期健康診断に際し、特に慎重なチェックを要する。 - 医療を要する症例(専門の整形外科医による治療)
定期的観察の症例
側弯角15〜24度の側弯。
コルセット治療を要する症例
側弯角25〜50度で、構築性変化があり、進行性の側弯。
治療の目標は側弯を可及的に矯正保持し、側弯の進行を防止することです。進行性の側弯をそれ以上進行させない方法としては、装具を使って側弯を矯正し、同時にこの矯正した位置を装具で常に保っておくこと以外にありません。特に、装具治療では、装具の装着時間を厳しく守る必要があります。自分の都合で装具をはずしてしまうと、治療の効果は得られません。専門の整形外科医のもとで、定期的に診察を受ける必要があります。
手術治療を要する症例
側弯角50度以上と側弯角が大きく、外見的にも心理的にも、また、心肺機能にも影響のある高度側弯症。
手術は前方法と後方法に大別されますが、多くの場合、後方法の手術を行います。後方法では、脊柱弯曲を矯正するために軟部組織と椎間関節の解離を行い脊椎を柔軟にします。チタン合金製インプラントである椎弓根スクリューやフックを脊椎骨に設置して、インプラントを用いて弯曲を矯正して固定します。その後、十分に骨移植を行います。
特発性思春期側弯症(14歳女)
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【術前】第6胸椎ー第12胸椎:右凸75度構築性カーブ
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【術後】第6胸椎ー第12胸椎:右凸26度
第2胸椎ー第3腰椎側弯矯正固定術を行い、術前75度の弯曲を26度に矯正固定しました。椎弓根が細かったため、胸椎にはフックを使用しています。自己血貯血と回収血装置を用いて、他家血輸血をせずに手術を行いました。