頸椎後縦靭帯骨化症
頸椎後縦靭帯骨化症
後縦靭帯が肥厚、骨化し、脊髄症、神経根症、頸部痛、頸椎可動域制限などの臨床症状が生じる病気です。原因不明で重篤な障害を引き起こします。
脊髄の圧迫による麻痺(まひ)症状
- 手指のしびれ、痛み、感覚鈍麻(どんま)
- 手指の巧緻(こうち)運動障害(箸が使いにくい、書字困難、ボタンが掛けにくい)
- 下肢の痙性麻痺による歩行障害(速歩困難、転倒)
- 膀胱症状(頻尿、排尿遅延、尿勢低下、残尿感)
静的因子(靭帯骨化による物理的圧迫)と動的因子(脊髄の異常な動き)により、脊髄および神経根が障害されます。
東南アジアに多く(欧米の約10倍)、有病推定率は人口10万人に対し6.33人であり、1975年に厚生省の特定疾患に指定されました。
- ページ内の画像は全てクリックすると拡大されます。
頸椎椎体亜全摘前方除圧固定術
前方より椎間板、椎体を削開し、骨化巣を摘出あるいは前方に移動させて、脊髄の除圧をします。腸骨あるいは腓骨を移植して、固定します。
頸椎後縦靭帯骨化症症例(68歳男性)
- 症状:四肢のしびれ感、手指巧緻運動障害、歩行障害
- 糖尿病を合併
第4・5・6頸椎亜全摘前方除圧固定術
第4・5・6頸椎前方除圧固定術により脊髄の圧迫を取り除き、症状は著明に改善しました。
混合型後縦靭帯骨化症症例(62歳女性)
- 症状:頸部痛、左手足のしびれ、脱力感、痙性不全麻痺
-
多椎間に広範な後縦靭帯骨化巣を認めました。
第2頸椎~第5頸椎、第7頸椎~第1胸椎、第2/3胸椎、第4/5胸椎、第6~7胸椎に骨化巣
第1頸椎後弓切除、第2頸椎〜第8胸椎椎弓形成術
第1頸椎から第8胸椎まで広範に後方から除圧することにより、症状は改善しました。