子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮動脈塞栓術(以下UAE)は子宮筋腫の治療の選択肢の一つで、放射線カテーテル治療専門医が実施します。子宮筋腫に栄養を与えている子宮動脈の血流を止めることで症状(過多月経や月経困難症など)を緩和します。ホルモン療法で効果が得られなかった方や手術を希望されない方、子宮温存希望のある方が主な対象です。治療後は少しずつ腫瘍が小さくなっていきますので外来で経過観察をしていきます。閉経するまでは再増大する可能性があり、一般的に治療効果が得られるのは約5年間と言われています。
期待される効果
約8割の方が過多月経や腹部膨満などの症状が改善するといわれています。治療の有効期間は3~5年間程度であり、再度症状がでてきた場合は何らかの治療が必要になることがあります。
方法
局所麻酔をし足の付け根や手首の血管(大腿動脈あるいは橈骨動脈)から細いカテーテルといわれる管を通していきます。造影剤と呼ばれる薬を血管の中に流し、レントゲンで映しながら血管の位置を確認していきます。筋腫の近くの血管(子宮動脈など)に塞栓物質(ビーズなど)を詰めて血流を遮断、減少させます。塞栓物質としてゼラチンスポンジ、金属コイル、NBCA(血管塞栓をする薬剤)なども必要に応じて使用します。
対象とならない方
- 無症状
- 造影剤や局所麻酔薬にアレルギーがある
- 活動性の感染症が存在する
- 悪性腫瘍の疑いがある
- 妊娠中
- 今後、妊娠の可能性がある年齢
- 重篤な免疫抑制状態
- 巨大子宮筋腫
- 漿膜下筋腫および突出率50%以上の粘膜下筋腫
合併症
疼痛、感染、アレルギー、塞栓後症候群、血栓、塞栓、血腫、月経異常、筋腫分娩、子宮壊死、動脈解離、仮性動脈瘤など
治療スケジュール
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1 初診
- 婦人科診察(内診やがん検診など)を受けていただきます。
- 骨盤MRIを撮像しカテーテル治療の適応か判断します。
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2 再診1
- ダイナミックCT、心電図、胸部レントゲン検査、血液検査をします。
- 診察・説明をご希望の方は放射線カテーテル治療専門医が対応します。
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3 治療
- 2泊3日の入院治療となります。
- 術後数時間安静に過ごしていただいた後、歩行や食事などの日常生活はご自身で行っていただけます。
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4 再診2
- 術後経過を診察します。再診の回数や間隔は病状経過によって異なります。
- 手術3ヶ月後、半年後、1年後に骨盤MRIを撮像します。
注意点
造影剤アレルギーの方はUAEを受けられません。現在、低用量ピルや偽閉経療法(リュープリン®やレルミナ)の治療を受けている方は休薬期間が必要となります。受診時にご相談ください。