周術期口腔ケアセンター

概要

周術期口腔ケアセンターでは、手術前後の合併症を予防し、全身麻酔の手術を受けられる患者さんが安心して治療に臨めるように、京都口腔健康センターの歯科スタッフによる口腔ケアを行っています。

退院後にもつながる手術前後の口腔ケア

口腔内は非常に細菌が多い部位ですが、普段は健康に障害を与えることはまれです。しかし手術などで免疫力が低下すると、これらの細菌がさまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。
当院では全身麻酔で手術を受ける患者さんに、歯科スタッフによる手術前後の専門的な口腔ケア(口腔内の診察、歯のクリーニングや治療、歯磨き指導)を行っています。

歯ブラシで歯を磨くだけでは歯と歯の間の汚れが約60%しか除去できないといわれています。口腔ケアでは、歯科衛生士が歯間ブラシやデンタルフロスの使用方法も指導します。
口腔ケアを行うことで以下の3つの効果が期待できます。しっかり口腔ケアすることで、入院期間も短縮できます。

1. 手術後の肺炎、心臓や人工関節への細菌感染リスクの軽減

全身麻酔中は自分で呼吸することができなくなるため、口や鼻から肺の近くまで管を入れて気管挿管、人工呼吸を行います。この時、口腔内の細菌が気管に押し込まれることにより、肺炎が起きる可能性があります。また、歯周病などが原因となって口腔内の細菌が直接血液の流れに乗って、心臓や人工関節などに感染を引き起こしてしまうこともあります。歯のクリーニングや、治療を行うことで、手術前に口腔内の細菌をできる限り減少させたり、感染源を除去することができます。

2. 気管挿管時に歯が抜けたり折れたりするリスクを減らす

歯周病でグラグラしている歯や深い虫歯があると、気管に管を入れる時に歯が抜けたり、折れたりすることがあります。それらを未然に防ぐため、手術前に歯の治療や歯を保護するマウスピース作製を行います。

3. 手術後、自分の口で食べられるように

手術前に口腔内の状態を良好にしておくことで、手術後の食事の開始をよりスムーズに行うことができ、手術後の体の回復にも良い効果が期待できます。